朝の隅/あらい
時間つぶしの可能性が こらえ 堪え予て
泣き出すような夜風にゆるく
石を蹴る。
転落するように簡単に 迎う闇に対して、
水音が填まるような 泡沫の声が残鏡に等しく
わたしをうつす
月の影と踊る
大層メロディアスな戯曲を一頻り浴びて
旅立ちを引き止めるよな さすらいを
弾き攣れた色彩、
物語りにもならない。嗚咽にも満たない、
はじまりもない雨音は唯 耳鳴りでしかなく
そのスカスカの心は軽石にも劣るが
何処へ迎えるのか
海岸を指でなぞるばかりの不可思議 夥しく
引き摺った帯上の、ただ従順なすがたかたちに、
頼りの貝殻を押し充て今と遮断する
これでなにがみえるか。
空け愚れる隅に一端の輪郭を送別する、
アスファルトの上に私は確かにいるのか
はかりしれない このいちめんを
身罷り切れぬ、不肖で障る、以上。
おおくはのぞめない この手では、至極、余る。
戻る 編 削 Point(0)