薄いアポカリプス/壮佑
 

 執拗にのたくる
蛇のような走査線の裏側から
  黒色に泡立つ粒子の
 ホログラフィックな性夢として
   二台の戦車の幽霊が姿を現わす

 海へ突き出た岬の草地を、蹂躙する鋼鉄のキャ
タピラー。七色の光彩を放つ無数の走査線が、二
台の戦車の厚い鋼鈑に、水平方向から衝突し、発
光し、四方八方に飛び散って行く。
                二台の戦車は
追いつ追われつ、敏捷な前進と後退、方向転換、
互いに背後を取ろうと、回り込み、正対する。至
近距離から放つ戦車砲の炸裂、黒煙、弾道の交錯、
光の軌跡。モノの形骸は砕け散り、すべては黒色
粒子に還る。

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