真夜中の猫/シホ.N
 


発情した猫の声
寒い真夜中
悲しげに聞こえる
その夜はいつまでも
猫の声がひびき続けて

空腹をかかえて
寒さに震える
真夜中の
見えない猫の
声だけが聞こえて

空腹を満たす物
ぬくぬくとした部屋
飼われているような人間

狂う鳴き声は
外にいる猫だったか
ここにいない
自らの分身だったか

姿を見せない
真夜中の猫は
その狂う鳴き声だけを
発信している

かつて寒さと空腹の夜
ひたすら考え沈黙していた
あの夜聞こえたのは
それ以上行ってはいけない
という声だったか


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