怪訝。柩の瞼/あらい
 
インクを浸した岩陰に連れ込み 縛り上げた手帳に挟みこむ
羽織の裏に広がる火焔が返り血を浴び、色濃い言ノ葉をおとすのを、
囁かな横顔でもって畳むとする
猛烈な本能が永らえる、時を超え、流れ星になる、その前に 息を停める

騒々しい少女だ

寝かせつけた慈悲を 一途に惹かれる道は 未だ 応えを出せない
酒場で呷る 色恋のように 根を下ろしてしまった

変わり果てた地下室にて

開いた頤《おとがい》から 桜を霞ませる 冷気が、拔けるよう響き亘り
瑠璃色の羽根が 燃え燻るだけの。魂を揺さぶる小雪混じりの風がまわるのを、
ただ情けない静けさが、早口な死を滑らせダブつく腹におさめ
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