自由律俳句 2022.02.07(月) 夕べ/田中恭平
 

温水をながす 皿 皿 皿

皿洗いおえてひとりの炬燵

妻を眠らせ寝室の扉を閉じる

することもなく妻の偉大さをおもう

つかれた今日を中空におもう

明日も仕事の、ふくらはぎ揉む

ライターに書かれた活字ぜんぶ読む

汚れた帽子 誇りにしている

アイスコーヒーの氷と共にとけてゆくわたくし

いらいらもなければ元気もないの

夜食にポテチ食べようか迷っている

いまごろ届いた年賀状見つめる二月

ほんとうの私とは ジワジワ変わる

きょうの混乱を反省しておくすりの袋にぎる

たとえば私は石として妻は月なんだろう

やることやりきって眠るに宜しそう三日月

さびしみ きょうはもう眠るだけなのか

温水手にあてて深い息ついていた

おやすみなさい コロナに気をつけて

布団のなかで化石となっている


戻る   Point(2)