BLESSING/津煙保存
ひとの あかるい静寂に
三月の 翳りを払い
透き通る 母の微笑みと
掲げられた 父の腕と
誰一人 見知らなくとも
写し出すものを 瞳の中
いとおしいと
めぐるものたちの
ひそやかな声は集まる
呼吸を覚え
名を与えられた
立ち上がり そうして
照らし出している
開いた手のひらに美しい
音楽も 言葉も あふれ
満たし満たされていく
星を歩いている
遠ざかろうとも
記憶の海 砕け散った
かえらないひとつふたつ
なくしてしまった
おちていく
数え切れないほど
小さくなり 消えていく
なにひとつ
取りこぼさない夜空に
戻る 編 削 Point(2)