畳み込む/あらい
 
日日を繰り返すうちに曖昧になっていく
姿形を思い起こして置こうと思う

ゆるくきらびやかな午後の陽射しはそう
やわらかな体温を覚えているような
春に満たないほど微か吐息が白い
梅の蕾が膨らむころだったか

書きはじめはそう乱雑にして離れずに隣に陳ぶ
わたしもあなたもちいさな子だったと
十二色のクレパスで姿を描きみる、ごくふつうの

交換日記には他愛もない出来事が描かれるはずで
そうやって積み重ねられた年月があった

そのものが、

ときに激しく燃え、約束の数だけ星屑とまじろぎ
それではウタカタにならず、塗り替えられた夜空のかがやきに
湖面に映る陽炎だとしても、
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