風化する放課後の/ちぇりこ。
が春の花の渦と同化して白い空間に吸い込まれてゆくその過程で、子どもたちは一まい一まい花びらに腰掛けています、ちいさな子どもたちは開花にはまだ早いので、白い箱の中に閉じ込めておきました、大切なものはいつだって白い箱の中にしまっておいたから、旧校舎の裏側にある芝生の上の百葉箱の心臓の内で、水銀を上げ下げする悠久の心拍数をメトロノームの代わりにして、アヴェ・マリアを唄ってください、ぶかぶかと
─おくこうねんの
─せいざのまたたき
〇月?日
今日は星もなあんもない、ぽかんとした夜だったので、空に三角定規をあてて強めに線を引きました、血の通ってない つめたい星座ができました、だから足踏みオルガンを夜の空に寄贈してあげました、つま先を踏まれなくても、ずっと唄えるように
(風化する、放課後の黄金比。)
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