祖母と故郷と、夕暮れと。/ちぇりこ。
 
一人暮らしも板についてきて
仕事もやっと落ちついてきたある朝
キッチンで水道の蛇口を捻ると祖母がにゅるにゅる出てきた
都会の水道はとうとう水のかわりに二親等が供給されるようになったのか
なんて思う訳もなく呆気に取られていると
「せいちゃん お米は切らしてないか?」
と祖母が言う
「こないだ10kgのやつ買ったから一人だとかなり持つよ」と言うと安心したように「そうか」と言って排水溝に静かに流されて行った
ぼくは小さい頃おばあちゃん子だった 何時も祖母の後をくっつき虫みたいにくっついてぴたぴた歩いてた
そんなぼくを祖母はいつもしわくちゃのお日様みたいな手で包んでいてくれてたんだっけ
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