写真 二篇/soft_machine
 
  一


写真におさまる声はないのに
いつまでも聴こえてくる
花がひらく唄
雲がきえる叫び
沖にとどろく神なり
それから、あなたの唇のネガ

どれもいまは違うものになって
どこか違う場所にあって
或いは引き裂かれ
また愛し合ったりしているらしい
と、ファミレスで聞いた
メニューにそう書いてある


  ニ


集合写真のわたしたちは
いつか色あせていた
気づかないほどの速度で
しかし確かにめぐる月日が
距離を引き伸ばす
隠してつないだふたりの指も
いつの間にかほどかれ
シャッターが落ちる
いつまでも
耳にのこる一瞬

白墨のブラウン運動
時計の針にかみつく螺旋
焼却炉にしろい羽根がおちて
わたしたちは透きとおってゆく


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