ボストンでは禁止/中田満帆
 


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 おれはたったいま、ビル風に吹かれた一枚のスリップを眺めている ここは小さなアパートメントの最上階 地上ではひとりの男が戦闘機めがけてジャンプしている 声はここにない 中枢都市の神経を逆なでするような陽物が痙攣のなかでひどく気持ちいい 石油が漏れだしたタンクのまわりを蟻が騒がしい なるべく足音を消して、おれはむかいの窓に癒着した 坂を登っていく女の子たちがボストンでは禁止される どうしたものか、翅のない虹がかの女たちを突き破って、いまさらにすべてを虚しい色に変えてしまう

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 ホイットマンが猫を朗読している夜 夜の魂しいが熱い 中二階の室で、孤立したおれが
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