餓鬼/soft_machine
この机のちらばりの どこかに
あいつが棲んでいる 潜んでいる
ほそい指で 引っかいている
なつかしい暗がりに あぐらかいて
澄んだひとみで 夜を 夜を
夜を待っている 寝がえる私に
ぶくぶく 泡たてながら しずかに
やって来て ぴたり背中ごしに
昼飯 何喰った
耳もとで囁く 餓鬼
洗濯機の縁に座りこんで 探している
回転する篭に 逆流する世界を
抜けた髪を 拾っては
束ねてしゃぶる
餓鬼 かえっておいで さぁここに
わたしの中で ひとつになろう
お前の まろい匂い
乳歯で埋めつくされた
行こう 火の無い世界へ
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