幸せ/塗絵 祐作
 

 中途半端な幸せが
 踏み出す勇気を奪っていく。

 怖いのは踏み出せないことではなく、
 踏み出した先で
 たいしたことのない自分に
 気づけないことだ。

 中途半端な幸せの中で
 自分には何ができるのか分からず
 あいまいな自信と
 あいまいな不安に
 溺れていくんだ。

 やれば、
 できるんだとつぶやきながら
 わずかな隙間が
 わずかな壁が
 飛び越えられずに
 昨日と同じ今日を
 今日と同じ明日を
 過ごしていくんだ。

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