ただ在る、とあなたは言った ?/帆場蔵人
 
Q1. 骨格標本を愛せるだろうか?

 どこかへと繋がっている川
 あぁ、海ならよく知ってる
 沢山の手足が浮かんでいた
 まるでくらげは親戚みたい
 月が綺麗、と言う前に返せ
 骨をとても愛していました
 川の辺りで骨を拾うけれど
 同じものにはならないのだ
 だから返せ、と言う虚しさ
 川に流した、遡るのは骨だ
 みる影もない太陽と月の影

あれは、誰の末節骨がとけた、あさのひかりか、よるに
名前を問うてみる、男は、いや男なのか、そこから……

 磨きあげた氷を抱きしめ溶かして、水溜まりに頭を突っ込み男は死んだ。水を雲が流れ、男の背中でナメクジがいつおわるとも
[次のページ]
戻る   Point(3)