ただ在る、とあなたは言った ?/帆場蔵人
Q1. 骨格標本を愛せるだろうか?
どこかへと繋がっている川
あぁ、海ならよく知ってる
沢山の手足が浮かんでいた
まるでくらげは親戚みたい
月が綺麗、と言う前に返せ
骨をとても愛していました
川の辺りで骨を拾うけれど
同じものにはならないのだ
だから返せ、と言う虚しさ
川に流した、遡るのは骨だ
みる影もない太陽と月の影
あれは、誰の末節骨がとけた、あさのひかりか、よるに
名前を問うてみる、男は、いや男なのか、そこから……
磨きあげた氷を抱きしめ溶かして、水溜まりに頭を突っ込み男は死んだ。水を雲が流れ、男の背中でナメクジがいつおわるとも
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