ドロシー/ちぇりこ。
Yellow Brick Roadを駆け抜けてきた娘は
トルネードのように戸を開けて
「ドロシーにあったの!」
雨上がりの道々の端っこに点在する
青空を切り取った水たまりのような
あっけない笑顔でぼくに言う
それって、あの、
「うん、あの!」
どこであったの?
「あっち!」
うたた寝の夢から続いている
黄色いレンガ道の途中
ドロシーの行方を追いかけるように
外へ出る
もうすっかり陽は西に傾いて
街中にオレンジ色のビー玉が
緩い傾斜のスロープを転がっていくように
黄昏を迎え入れようとしている
「ひこーきぐも!」
ほんとだ
ドロシーはあっち?
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