今朝も武器を/こたきひろし
 
武器を背負って駅の改札をでたら
街は暗くなってた

電飾の看板に吸い寄せられて
地下の酒場に入ると
店内はカビ臭い匂いがした
隠微な空気の中に
淫靡な雰囲気のHostessがあらわれて
カウンターの椅子をすすめられた

渡されたお絞りが生暖かい
俺は麦酒を頼んだ
おつまみは
とおんなの子が聞いてくる
おねえさんの乳首なんかつまみたいと
言ったら上手にかわされた

麦酒に飽きたら
焼酎呑んだ

客は俺しかいなかった
おねえさんはやっと気づいてくれた
俺の背中の武器を 武器の重さを
俺の心の痛みまでは気づいてくれなかった


戻る   Point(3)