彼方肆/あらい
 
私たちは過去に梅雨晴れの菜の花をふつりと亡くしている
重ねられたむしろ、奥座敷には、立ち返れば
少女 ひとつ、気配すら ままならない

4つかぞえるうちに 喉が鳴る。心臓が弱いらしく、ひとり死んだ
3こならべたのに 風が収まる。引き倒した休憩所でひとえ 消えた
2つころがるように 傷心を抱く いずれ、朝な夕な ひとつゝきた

ひとりみせしめるように 焼けている浮世を真っ白に削る

声帯模写と処方箋は みだらに開いていた
永久歯に驕慢と名付け、チチいうクッキーを挟める
ハートフルな経験をぐずぐず流す冷や汗とエゴスティックに茹だる
星を拾うだけ
葡萄樽の中から 満ちては引く
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