side order──田中修子へ捧ぐ/中田満帆
 
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 たとえばあのひとが、
 ひとにならず、
 辞そのもので
 あったなら、

 花のために悼む 星が乱反射する路地裏で あのひとの詩を見かけた、年号のない日付 あまりにもおれはおろかだった そしてかの女を苛む棘のようにその世界に存ったから、トマトクリネの皿を投げ、憎悪のなかでわが身をのた打った それでもあのひとはわたしを非難しはしなかった 2019はいつも秋だったせいで、おれのなかの「さよなら」だけがいつもきらめき、そしてそのなかで書かれたものが、おれにとっての採光だった 裁判所で待っていた  

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 たとえばあのひとが、
 死のなかになく、
 流体そ
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