蕾/
服部 剛
一輪の花がゆっくりと、蕾を開く、宵の夢
創造のわざは、私のなかに働く
私を支える茎は背骨、密かな光合成をとめず
今日もわずかに、背丈を伸ばそうとしている
たとえまだ、日の目を見ていなくとも
私の内に隠れた蕾を、私は愛でる
うずくまっているように見えても
花開く春の陽をじっと待つ、蕾よ
夜の底で人知れず
沈黙と語らい
私は蕾を愛でる
ただ光を求めながら
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