虹を待つ少女/st
雨上がりの後に時間があると
少女は
いつも散歩にでかける
行く先は
街の高台にある
見晴らしのよい公園
ベンチに腰掛けて
虹のでるのを待っている
が
今日もまた
いくら待っても虹がでない
悲しくなった少女の瞳が
うるんできたその時に
どうしたのお嬢ちゃん
と
初老の紳士が話しかけてきた
虹を待ってるの
と
少女が答えると
虹なんかめったにでないよ
今日ももうでないと思うよ
いつもここにいるけど
そんな理由があったのか
と
少女を見つめると
少女の瞳から
涙がこぼれ落ちた
何か深い理由がありそう
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