月蝕/soft_machine
 
いつか見はらしのいいどこかへと
ひらいた傘が浮かんでゆれてく流れ
しずみつもった景色をさけて
わたしに望遠の目がもてたなら
ビルとビルの隙間をはしる列車を待っていいけれど
屋根裏の秘密がもてたなら
燐寸を擦ってまぼろしを掴まえていいけれど
今はまだ始まりのまるい露があつまるどこかへ
織りなす色の夕映えのひそかへ

ほら、金星が見える/木星も見えた/水銀燈が放つまばゆい礫が/網膜を灼いて意識の結びを点滅させる/自転車のライトの爆発光が想いをかきみだす
たのしげな水面のさざめきや/あたたかく濃い闇から遠くはなれ/つるつるになった脳みその奥に残された/ふるい領域できみはいつまでもひ
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