まんまるかじつ/あらい
 
隣り合う、背にして、ただ微笑む 貴腐の林檎がある

    あなたを犯している。影はもう捕らえられて、
         眩しくて、見上げることも、ない

     わたしは
     とけて
     おちて
  ふれたように ひとみに宿る、

 そのときだけでも、満ち欠けるようにして 過ぎる
   なんてこともない、ときは同じに流れて いく。

  月がきれいですね といえば愛だの恋だの

    羞恥心の盃は 暗雲の向こう側へ
     胸いっぱいに咲かせてしまう

        (水鏡を齧る)

  口に出さずとも素直にならずとも 人々は、
  
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