懐古、同室の手記/あらい
サンルームに垂れ下がる 隻腕で配置される
くびれた炎熱から独房まで
口当たりのいいときは 絡みつくようにして
玄関先に焚べているのを 袖の下から黙秘して
逆風とも追い風とも 根拠もなく、
肩を寄せ合うように、足の先までを好意で埋める
これは空き家の怪異だよ
是非に慕って 目印は海に揺蕩う
あしらいを封じて 鴎は憂うばかり
水没した灯台の またたきは、
あの海までの並木道を、
木漏れ日として徘徊している
石が流れて木の葉が沈む
青空と虹の橋、水溜まりに鎮む(戯言を。)
意思が流れて言の葉が沈む
生易しいことにやはり躊躇もなく、
それだけ
生き延び
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