薄墓詩/あらい
 
深く深く息を吸う
 それで灰の海に飛び込む

 薄明にも満たない冷たいだけのうねりに、
 なんども溺れながら。
 何処へ 向かおうと言うのだ

朽ち葉の思慮はない
ただふるえる筆に少しの墨を入れて
、輝
 く。
秋月をはっきりとえがくために、

    虚栄心だけの 
        私の 
船の袖に浮かぶ氷に似た、
       薬指には 

 しこりのようなもの
 きっと戻ってきた 
 ころあいなのです

傾げる陵の其処に横たわり、
わずかな香りが逃げていった。
          そこに
         鵲の鏡、
澄んだ水の中で泣き叫ぶ 
[次のページ]
戻る   Point(3)