薄墓詩/あらい
深く深く息を吸う
それで灰の海に飛び込む
薄明にも満たない冷たいだけのうねりに、
なんども溺れながら。
何処へ 向かおうと言うのだ
朽ち葉の思慮はない
ただふるえる筆に少しの墨を入れて
、輝
く。
秋月をはっきりとえがくために、
虚栄心だけの
私の
船の袖に浮かぶ氷に似た、
薬指には
しこりのようなもの
きっと戻ってきた
ころあいなのです
傾げる陵の其処に横たわり、
わずかな香りが逃げていった。
そこに
鵲の鏡、
澄んだ水の中で泣き叫ぶ
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