タブラ・ラサ/あらい
 
日の射さぬ海底を鉛筆で丁寧になぞる、
トレースされた神話の時代より
飛び立てないよう羽根と契る、
いや、解かしてしまった
赤く黄色く様々なひかりを焼き付けるように

栞にした
張力
ころころと

紙包みから逃げ出したのは、まぎれもなく
最愛のひとで、ただ幻と明いたいだけ

十字路に蔓延るのろまな幻妖を、先回りする、
窓辺に積もった雪の化粧と、魔法の子
わらう 観覧車から 華やかなキリが濃く
夢だけが膨らんでは 輪になって飛んでいく

仏手柑の誘惑。
終ぞ懐かしく愛おしい、男とだけ、
角砂糖ひとつ、くれてやるものだ

ながれぼしを、眩暈と汲んだ 夜景が
あまりにも哀しげに、泣くものだから
喧嘩をしたのか、と泣き顔を思いだそうと、
小口で掻き切った、そらを
慌て火傷したよう、暗幕で花冷えする、
隠しきれない人目を偲んで 

面影よ今息を吹き返す。という
つまらない 水銀の稚 ひとつのこして

稜とした
毬と何処へ

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