余瀝接吻/あらい
 
たとえればいつか だれかの墓碑銘に雪ぐ

記憶にも薄い レプリカ法。
オープンカフェのトーストに見られる、
くゆらすかのひとの
ふるい自転車とポニーテールの 
知らないあの子

重ならない合わせ鏡を開いて、

背中越しのジオラマは
ざわめき、
そよかぜと緑青の
スペクタクル
あのときの百曼羅陀

誰かが蹴躓いた、バス停での、

いしころは未始終。
いつか打ち明けられた手品の種と拾う

これから
黒を帯びる印画や
紫煙を催したカタルシスを 
呻き散らした暁月夜で 溢した、
繋ぐ価値のない、悴んだ白骨を覆った
ゆきのはなに、
きっと若葉と蜜蝋は誕生
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