りりい捕物帖/阪井マチ
 
挑んでいた。

 気が済んだかのように茄子は家を飛び出して、市街地へ向かった。依頼者はもうついていく気はないようだった。茄子は高級時計店の前で止まると近くに落ちていたヘルメットを持って入店し、笑顔の凍りついた店員を押し退けて事務所の中に押し入った。室内の人たちが騒然とするなかでも平然としていたが、部屋の奥にある扉を見つけるや否や、茄子は急ブレーキのような声で絶叫した。

 周囲の制止をヘルメットによる殴打で躱しながら、茄子は扉に手を掛けて、力任せに引き破った。するとそこには両足を縛られた人たちが逆さまにぶら下げられていて、その周りを白シャツの警官隊が取り囲んでいた。何なんだお前らは。刑事の
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