空中ブランコ/Lucy
細い鎖にきらりきらりと反射して
握った指先もすっかり冷たく感覚を亡くしてゆくのでありました
折しもピエロは立ち上がり
ゆっくりと膝を曲げ 力を込めて伸ばしました
ブランコは少しずつ揺れはじめ
やがて大きな弧を描き空を往復し始める
加速と失速 失速と反動を繰り返し
次第にもう少し高い位置まで到達しては引き戻される
ピエロは漕いだ
漕ぎながらピエロは笑う お腹の底から
戻されながらピエロは泣いた 声を限りに
顔の化粧はいつしか?がれ
本物の涙の雫が夜露となって地上に落ちた
ついに限界に届く頃
ブランコに足を引っかけ逆さにぶら下がっていた
向こうの空から飛んでくる
もう一つの黄色いブランコに
両手を伸ばし 飛びうつる
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