空中ブランコ/Lucy
 

秋の夜は 濃さを増してゆく群青の空の深い深い奥のほうから
細い真鍮の鎖が二本 長く垂直に吊り下げられ  
両の手でそれに掴まり
先端の細い横棒に ピエロがひとり腰かけていたのでありました
白塗りの顔に だぶだぶの水玉模様の服を着て
右目の周りにあかいダイヤ
左の頬には涙のしずく
大きな口が笑った形に貼りついて
ピエロは僅かに項垂れて
芯まで冷えた身体をブランコに預けていたのでありました


漕ぐのをやめてもうどれぐらいたつのでしょう
澄んだ空気が凛々と鳴る程に冴えわたる空の更に高い処では
ブランコのような月が輝き
硝子の粉を散りばめたような星が瞬き始めると
細い
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