波乗り小人/Lucy
小人たちが落ち葉に掴まり
空の浅瀬で波乗りしている
深い眠りに沈んだ夏を
呼び覚まそうとする者はいない
さらさらと風は
思い出のほうから吹いてくる
小人たちは歌っている
こんにちは
また 会いましたね
まだ 生きていましたね
煉瓦の舗道を彩るものは
時満ちて落ちた赤い木の実
黄色く色づくイチョウの葉
橙色や褐色の名も知らぬ木々の落ち葉たち
虫食い穴のあく ありふれた姿を晒し
あれほど恋い慕った人に
もう一度巡り合いたいとは思わない
この世界の何処かで
今も生きている人だとしても
さらさらと流れゆくものを
風に映し
言葉にならなかったものを掲げて
サーフィンしている
小人たち
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