メール考/服部 剛
送信の印を、押せば
一瞬で相手に届く
メールの文面
手紙の文字なら
その人らしさを表わす一字にも
一つの心臓が、宿るらしい
令和3年にもなれば
ポケットから取り出した
長さ15cmのスマホの
画面にふれればこと足りるが
昭和生まれのわたしは、考える
「時には3行のメールにも
粋なこころを、宿らせたい」
ひとの想いは
頭ではない無意識の海で
互いに通じる、瞬間を
ひっそりと待つ
あ、机の上のスマホが ぶるっ と震えた
遠い街に住む友から
夜を越えて
鼓動の鳴ったメールが
飛んでくる
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