戴帽式/杏っ子
戴帽式だった。
みんなが楽しそうに浮かれているなかで、
1人この時間を呪っていた。
時間か過ぎることは知っている
それなのに嫌な時間というのは、逃げ場がないだけに、
永遠に続くかのように感じられる。
学生でなかったら、こんなふうに感じることはなかったのに。
それが嫌で学校を離れたのに
卒業までに後何回こんな思いをするんだろう。
どんなに嫌な時間も確かに過ぎていくけど
毎回毎回地獄のようだ
このクラスで話す人がいない、どこにも属さないのは私だけになってしまった。
戴帽式の前の地獄のような時間に挟まれ
身動きできない私は
戴帽式の喜びを分かち合う人は1人もいない
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