菓子を食べに/番田 
 
、そして、考えるようにもなった。ケンタッキーもそうなのかもしれない。それは、日本が常夏の国であったなら、経済がそこまで、まわらなかったかのように思える瞬間でもある。

経済との駆け引きが、小さな店であっても確かに存在するようだった。人の行動を決めるのは、単純なようだが、複雑な思考に基づいていたりする。その商品が自分にとって有益なものであるのかを、10円のお菓子を買うにしても、人は瞬時に判断しているものなのだ。今、僕は冷蔵庫を買おうとしているが、そういった商品の場合には、長期的な価値でもって、物事を判断する必要性が出てくるのである。それをお菓子と同じようには、考えることは、まず、できないのである。

店主の生み出したであろう、ケーキは、甘くて美味しかった。包み紙も、金色で、目新しいように感じさせられた。ショーケースに入れられたそれを、何度も、そして、見てしまった。どれを次に来た時は、食べようか、などということを考えていた。残念だが、もうこの街に、長くはいないのだということは、決まっていたのだが。経済のことを考えながら、不確かな思いの中で、それを食べていた。
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