朝の列車/……とある蛙
 

吊革につかまる
リュックを背負った妄想の列

モノクロフイルムの
買い出し列車
一応に皆、リュックを背負い
何があってもリュックを手放さない
網棚には何も無い
大したものが入っているわけも無く
後生大事に抱えている

座席には寝ているか、寝たふり
目を開けている者は
スマホを一様に見ている
そこには、
知らない誰かが得する情報はあるが、
自分が得する情報は無い、
しかし、
貪るように目を通す

遅れないように

もう、何十周も遅れているのに
賢い君は分かっている筈だ。
スマホが何も産まず、
貧しい君から、
幾ばくの無駄金と
考える種を奪って
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