哀悼/凪目
 
雑踏で
肩書きのない男の影が消えた
彼は手で狐を作って
横断歩道の真ん中
子どもだった自分と遊んでいた
遮断器
警告色の長い飴が灼熱で溶け
目の奥までねとつかせる
肩という肩は不吉な汗をかき
続きに没頭する
没頭する続きの続き
続きの続きの続き、
もういいかい
子どもの手は弧を描く
男の影はかき混ぜられて
今はもう誰のものでもない
一陣の夢に
呼ばれてもそこにいない
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