お伽の報い/凪目
湖から起き上がって、ぼくは
茨道をつたい 家へ戻る
ずぶ濡れを日に干し
風通しをよくする
微睡めばどこからか 歌が聞こえる
あのとき一緒に聴いた
貝殻の奥の
ぼくが同じ音で応えると
ミシラは二つ高い音で応える
打ち寄せて 引いて
音は森へ還る
昔、
一羽のことりが棲んでいた
ぼくの胸に
ミシラは知ってる
ぼくが鳥を殺したこと
きみを憎んだこと
今ではそこに 石が詰まってる
眠りを求める石
暗く 清潔な眠り
ミシラ、だけど今でも
時折 かすかで気取られた
くだらない神話が滔々と
垂れ落ちてくるのを耳にする
蜜みたいに
湖の底で
そこここでも
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