表白者/凪目
 
くしゃくしゃの紙を握りしめた一匹の動物が
紙のような顔をして虚ろを睨む
空では甲高い哄笑
響き渡る大いなる破裂
破裂の名残は小さな破裂へ反響して
増幅する傷跡になる
動物の慟哭は鋭く
切り立った叫びはしるしに
しるしは鎖になる
破裂できないからだ
動物はうなる
破裂できない
うなりは錨となり
天へ地へさまよい
降ろされることなくどこにも触れない
宙吊りの紙は束になり
しわはまた深くなる
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