山の中の孤独/山人
 
単調な作業は、頭の中に様々な思考を呼ぶ。脳とは勝手なものだ。何か特定のものについて、思考しようとしなくても、勝手に次から次へ出てくる。掛け流し温泉のように次から次へと湧き出てくる。思考は止まることがない。脳とは誰なのか?ろくな機能しかないのに、こんな時だけせっせと働く、ふざけた脳だ。私の孤独を慰めるために、脳は何かをわざわざ思考させるというのか。ご苦労なことだがいい加減うんざりしてくる。
 さっきからどれだけ働いているのだろう。単調なエンジン音と背中のザックの重みが脳内を粘る。腕時計を見る。未だ一時間半しか作業していない。あと三〇分頑張る。二時間。刈り払い機とベルト、ザックを投げ下ろし、濁音の入
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