光を避け/ホロウ・シカエルボク
 
あとは標的を見つけるのみ、といった感じの鋭角的な光線は、ちょうど天井の一角を貫こうとでもするみたいに壁を走っていた、がらんとした部屋の中に突然展開されたそんな光景は、時代錯誤なパンク・ロックバンドのジャケット・アートを想像させた、尖ったものは摩耗し尽くした後に笑われて終わるだけだ、そんなフレーズが脳裏をよぎる、退屈な午後の一幕だった、俺は部屋を出て、街の喧騒の中へ己を紛れ込ませた、感染拡大、という言葉がトレンド商品のようにあたりの店先で飛び交ってる、ウィルスくらい簡単に致命的なほどの無意識も予防出来りゃいいのにな、と思う、あれぐらい根強く人々を侵し続けているコンテンツもそうはない、すれ違った女が小
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