得体の知れない不安/こたきひろし
夜
閉店三十分前のスーパーマーケットの駐車場に
クルマとめて待っていたら
店舗前に並んだ数台の自販機の釣り銭受けの中を
1台1台手を入れて行く
怪しげな男があらわれて
疾風の如くきえた
この社会には
金に困る奴は腐るほどいるに違いないが
俺もその一人だが
そこまでしたくはない
俺はクルマの運転席でその光景を見ていた
なぜか急に喉の渇きを感じて
助手席の女に声をかけた
何か飲むか?
女は眠っていたのか
それとも死んだようになってたのか
それとも眠っていたふりしてたのかわからないが
温かい缶コーヒーなら飲みたいと言った
俺はクルマから出て歩いた
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