素敵な音に/
塗絵 祐作
気持ちのよい音楽が滑らかに閉じてゆくと
いつ終わったか分からないというよりは
それが終わらないかのように錯覚し
耳には音が残り続ける
そういうことが日常で山ほど起きて
何が始まり何が終わったのか
ひとつも分からないまま進むのだが
それはそう悪いことでもないのだ
あなたにとって終わりであっても
別の誰かがそれを始まりだと
過去を知らない様子で言ったとして
それはそう、それだけのこと
戻る
編
削
Point
(0)