夏はもう秋/山人
 
場面ではニーズが無いことはない。そこにしがみつけるだけマシという事だ。
 九月になれば多少暑さは緩和されるだろう。しかし私には九月の個人的な登山道除草が待っている。土日と苦行を行い、平日はきつい山林労働で体を休めるというナンセンスな日々が続く。しかし、それをやらないと生活できない。まさに命を削りながら生き続けるというおかしな話だ。そんな中でも夜明けの雲海や、沈みゆく赤い稜線、夜の山道に飛び交う生き物達や忍び鳴くカエルの声、下界の集落の灯り、いろどりを開始した樹林帯の紅葉。そんな場面に出会うと、悪くはないと思うのだ。逆にそれしかないだろうすら思えてくる。
 
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