混濁/
入間しゅか
未だに発声を確保できずにいた
パーティション越し
レジカウンターの店員が胸に
研修中の札をつけていたので
深く息を吸うことができた
マの音の形に口が開くまで
飛沫が飛ぶ様子が浮かぶ
ふるふると
躍動する振戦に乗せて
文字が
言葉が
声になると
停止したアカシジア
朝マックを貪りながら
脳内に声が谺していた
あれは自分の声だったのか
振り返ると
そこは暗い洞窟で
行く手を阻む
どす黒い闇が意識を支配し
もう一度
呼吸からやり直していた
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