日々の土産/服部 剛
久々にひとり旅で、箱根の宿の土産コーナーに
指でたたくとんとん相撲があった
――九才のダウン症児とやったら
お相撲さんをつまんで、ポイだなぁ…
翌日、小田原城の中には
玩具の刀がキラリと光った
――息子に持たせたら
ぐるぐるふり回し、危ないなぁ…
そんな息子にも
できることが、ひとつ
パパはママの重荷を少々減らそうと
家に帰り、息子と入った風呂で
「むすんでひらいて」を歌い
パパが両手をゆっくりひらく
息子のとびきりの笑顔もひらく
花と同じくらい、いや
花よりも嬉しそうに
もし、息子に土産が分からなくても
何でもない日々からもらっている
パパと、ママと、君が
そこにいること
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