無人駅で/渚鳥
○月?日
今日も駅の伝言板には何もない
無人駅の清掃員である私は、日々をつつましく地味なものとして過ごしていた
今日も今日とて、粛々と退勤時間を迎えようとしていたのだが、そんな私のもとへ思わぬ珍客が迷い込んできたのだ……
──あれは九官鳥だ
人語を操る、ヒトに擬態しきれぬ鳥の者
さて何故こんな寂れた駅舎へ迷い来たものか
取り敢えず保護して明日、届けを出すか
○月?日
飼い主はまだ現れない
昼休み、新聞の広告で見た仕事に○をつけて机に置いた
私はさっきから駅の待合室の床を磨いている
掃除は嫌いじゃないが、“私一人”に対して“床汚すもの不特定多数
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