太陽の残欠/高原漣
おれたちがここで踏みとどまって戦う意味はあるのか?
国破れて山河在りというが
海は死ぬし、山も死ぬ
人は死ねば いずれ十掴みの灰に
だが、逃げるのか?
出来ない、そんなことは断じて
生きとし生けるものすべての本能に叛逆し
足を止めて殴り合って
沸騰する命を敵に浴びせかけて
意味はあるだろうか、無いだろうな
これは贖いだ、狂信的帰依だ、破壊的成仏だ、強制された祝福だ
浄土におれたちの席はない
今居るここへ感じる哀惜は捨てよう
足を踏み鳴らせ
血液に刻まれた歌を謳おう
友よ、往こう あの太陽の旗を掲げて
鉄の雨にうたれて、ちぎれて果てるまで
炎と燃えさかれ、鬨の声を上げろ
粉々に砕かれた鏡の中にも
陽はまた昇る
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