尺八老人と漬物の恋/道草次郎
 
だいな抹茶色の外郎のような池のつらを眺めているのです。

あ、鳥がひとなき。

橋向こうの往来のみぎからは中学せいの一群、左からは三輪車とサンダルばきの3歳。めいめいの脳の井戸のそこから見上げる青空がめいめいがたの視界というわけです。

鳥がもうひとなき。なんだろうあの鳥は。鳥の鳴き声がわからないというのは何だかつまらない。

詩文のことで色々言うには、おれなどはあまり知らなすぎるのだが、花があったらあれは花ですとかくのがやっぱりいいんだとおもう。

水面の様子を、はすかいに泳ぐ鴨のにわの揺曳する水尾の文様とその刻刻変幻する水分子に内在する哀しみ、とかそういうのはだめ、唯、水が
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