私の人生らしきもの/幽霊
うより、知っていたという得体の知れない確信に近い。それは夢の中でなぜかあらかじめ知っている予備知識のようなものに似た確信です。
私はあのようなつまらなく、不愉快なものを嗜好するようになる過程に大人の哀れな正体を見たような気がします。
大人はいつもどこか不機嫌です。
大人とは海水のような液体状の寄生生物です。子供たちは、いつの間にか無風の絶海に浮かぶヨットに1人取り残された遭難者です。しばらくして子供はちらちら燐光を放つ海水から脅迫めいた誘惑を聞きます。そしてとうとう半狂乱になり海水をがぶ飲みしだすのです。子供は死にます。すると子供の死体はむくっと立ち上がり、暗い海の底にある社会へと飛び込
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