河童伝/板谷みきょう
 
いていた。

―――沼が干あがってしまうだと…?―――

二、三日後、河童が部落に現れた。
「おらが村長に会ってダムを作らせねぇ。」
それだけ言うと、プイと姿を消した。

四、五日後、村長の家に河童が現れるや、血判状を差し出し
「おらが、龍神にぬらくら川を氾濫させないよう頼んでくる。来年まで、ダムを作るのは、待ってけれ。」
それだけ言うと、プイと姿を消した。

その年の夏―――
雲行きの怪しい雨模様の日―――
村人、部落の者、議員さんやら、村長までもが集まっていた。
「ざんざん降りで、今にも、ぬらくら川が氾濫するかも知んねぇぞ。」
「いやいや。河童の三郎が、龍神様に
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