ある朝/ゆるこ
 

早朝の総武線快速のホーム下り列車を待つ
自殺防止に設けられたガラスに鈍く、私の足元が映る
ふと、地元の塚に立つ墓標を思い返す
戦争で亡くなった英霊を祀る、神聖な墓標
その横に無縁仏を祀る墓が、点々としている
苔が生え、風がもしくは何かの悪意の元転がり、雨に溶かされ、削られている墓石たち

ガラスに鈍く映る私の足は
その、苔の生えた墓石によく似ていた
視界がどんどんと緑色になり、気づくと足に蔦のようなものがからみ
私を転がそうと悪意を持って這っている

死は恐ろしい。

両親の死に際を思い返す

うわ言のように何かの神様の名前を呼び、縋り、最期には誰か助けてと呟き
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